プライマリーチェーンの調整
エンジンからガチャガチャ異音がし始めたのでプライマリーチェーンの調整をします。
エンジンからミッションへ動力を伝える大事な部分。国産車はギアを使ってる場合が殆どですが、ハーレーに限ってはチェーンを使ってます。
このチェーンが緩んでくるとガチャガチャ音やコンコンと鳴るので定期メンテナンスが必要な箇所です。
プライマリーチェーンが緩んでると
プライマリーケースからカシャカシャ音でなくガチャガチャやコンコンコンと音が発生します。
チェーンが緩んでいるので中で暴れプライマリーケースにチェーンが当たってる音です。放っておくとケースが削れて鉄粉が発生しギアやベアリングに噛んで消耗を早めてしまいますが早々致命傷になることは無いでしょう。一番は乗ってて耳障りな事ですかね。
プライマリーチェーンが張り過ぎてると
走行中にプライマリーケースからヒュイーンと連続音がします。
冷間時は音が発生しなくてもエンジンが温まってくるとプライマリーギヤが熱膨張しチェーンの遊びが無くなってクランクシャフトとミッションシャフトがガチガチに引っ張られチェーンテンショナーが擦れてヒュンヒュン音がします。この状態だと各部に負担が掛かっているのでエンジンが壊れます。
プライマリーチェーンの確認方法
プライマリーチェーンの確認方法はエンジン左側プライマリーケースのインスペクションカバーを外して確認します。
インスペクションカバーの外し方
プライマリーチェーンの点検窓、インスペクションカバーを1/4インチ六角レンチを使って外します。
カバーを外すとパッキンが現れるのでマイナスドライバーで優しく外します。
カバーを外すとプライマリーチェーンが見えます。
ここで注意!
窓の中にあるチェーンを指で触ってはいけません。
ついつい穴があったら入れたい衝動を抑えてください。というのも万が一間違ってエンジンが動いたりしたら指を切断しかねません。
本来であればバッテリーを外して作業を始めるのが正しい手順ですが、面倒なのでバッテリーは繋ぎっぱなしで作業してます。ゆえに窓内のチェーンを調整するのは指でなく棒を使って遊び幅を確認する方法を取ってます。
バッテリー外してもエンジン内部に指を入れるのは危険なのでおすすめはできません。
プライマリーチェーン遊びの確認
プライマリーチェーンの遊びを棒を使ってチェーン持ち上げて高さを確認します。
チェーン遊びの高さを測るにはノギスや定規を使います。
適正あそび量は
エンジン冷間時 9.5mm〜12.7mm
エンジン温間時 6.3mm〜9.5mm
火傷したくないので冷間時に測定しました。
あちゃ〜遊びが20mm以上あるでよ。思いっきり緩んでますね。
そりゃガチャガチャ音がするわけだ。
プライマリーチェーンの点検時期は12ヶ月毎です。
プライマリーチェーンの遊びを調整
プライマリーチェーンの遊びが既定値外であればチェーンアジャスタースクリューで遊び幅を調整します。
チェーンアジャスタースクリューはエンジン下部にあります。
ロックナットのサイズは7/8インチです。ちなみに22mmメガネレンチがキツキツで入ります。
アジャスタースクリューは1/4六角L型レンチをボルトの中心に差し込んで使います。
まずはロックナットを緩めてチェーンアジャスタースクリューを時計方向に回してチェーンにたるみをなくすか、反時計方向に回してたるみを増やしてチェーンの遊びが基準値になるように調整します。
プライマリーチェーンは指定されている値以上にきつく調整しないでください。 チェーンを締め過ぎると過度の摩耗が発生します。
今回プライマリーチェーンの遊びは10mmにしました。
チェーンが緩んだまま運転すると、低速時にガクガクした動きを引き起こしチェーンとスプロケットの摩耗が早まります。
調整が完了したらインスペクションカバーを取り付けて元に戻します。
インスペクションカバー取り付け
インスペクションの穴にパッキンとカバーを元通り取り付けます。
Oリングにシリコングリスを塗る
Oリングは新品交換推奨ですが劣化してなければシリコングリスを塗って再利用します。
Oリングが付いてるネジは強く締め付けるとOリングが歪み傷みやオイル漏れに繋がるので締め過ぎに注意しましょう。
プライマリーチェーン調整後の試運転
調整が完了したスポーツスターの試運転をしたところカシャカシャ音が小さくなりました。完全に無音にはなりませんが気になる程ではありません。
試しにチェーンの遊びを無くしてキツキツで走ってみるとノイズは無くなった代わりにヒュイーンと負荷が掛かってるヤバイ音がしました。
プライマリーチェーンに遊びがないとエンジン壊れます。
まぁチェーン駆動の時点で無音は無理かと、、、
ここのチェーンはメーカー指定で毎年チェックが必要なんですね。しっかり見ておきましょう。
メーカーの正しいやり方
ハーレーダビッドソンが示す正規のプライマリーチェーン調整方法を載せておきます。
2020年式SPORTSTERオナーズマニュアルより
適切な点検時期に、プライマリーチェーンの遊びを点検し、必要に応じて調整してください。チェーンが緩んだまま運転すると、低速時にモーターサイクルのがくがくした動きを引き起こし、チェーンとスプロケットの摩耗が早まります。この状態が発生した場合は、ハーレーダビッドソンジャパン正規販売網店にお問い合わせください。
- メインヒューズを取り外します。「「整備手順」の3部構成です。
- スクリュー2本とプライマリーチェーンインスペクションカバーを取り外します。
- プライマリーチェーンの張り具合を、垂直方向の遊びを測定して点検します。
- チェーンインスペクションカバーの開口部から垂直方向の遊びを計測します。
- エンジンを回転させ、プライマリーチェーンをスプロケットの別のポジションに移動させます。
- プライマリーチェーンを動かしながら、垂直方向の遊びを何度か測定し、チェーンの張りが最も強くなるまでスプロケットを回して計測します。
- 前の手順にて最も張りの強い位置での測定値が、適正範囲内でなければなりません。必要に応じて調整します。
プライマリーチェーンの遊びの仕様
エンジン |
インチ |
ミリ |
冷間時 |
3/8 〜 1/2 |
9.5 〜 12.7 |
温間時 |
1/4 〜 3/8 |
6.3 〜 9.5 |
プライマリーチェーンは指定されている値以上にきつく調整しないでください。 チェーンを締め過ぎると過度の摩耗が発生します。
- ロックナットを緩めます。
- チェーンアジャスタースクリューを時計方向(内側)に回してチェーンにたるみをなくすか、反時計方向(外側)に回してたるみを増やします。チェーンの遊びが基準値になるように調整します。
注記 |
これらの基準値の範囲内で垂直方向の遊びが調整できない場合は、プライマリーチェーンまたはチェーンアジャスターが摩耗し、調整限界を超えていることを意味します。ハーレーダビッドソン ジャパン正規販売網店へお問い合わせください。 |
- 遊びが適度に設定されたら、チェーンアジャスタースクリューを保持しながら、ロックナットを次のトルク値で締め付けます: 27-34 N・m(20-25 ft-lbs)。
- プライマリーチェーンインスペクションカバーと新品のガスケットを取り付けます。スクリューを次のトルク値で締め付けます: 11.3-13.6 N・m (100-120 in-lbs)。
- メインヒューズを取り付けます。
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今回使ったパーツと工具
メンテナンス記録