ハーレードライブベルトの調整
ハーレーダビッドソンのドライブベルトがユルユルで加速して減速するとギュッって音が出始めたのでベルトテンションの点検と調整をしました。
スポーツスターに限らずハーレーは国産バイクで使われるチェーンドライブでは無くドライブベルトが使われてます。
このベルトは伸縮性があってベルトのたわみ値を調べるには一定の力を掛けた状態でたわみを測る必要があります。
ハーレーダビッドソン指定のベルトテンションを測る一定の力とは10ポンド(4.53kg)を指します。日本では馴染みのない単位のポンドです。
10ポンドの力をベルトに掛けるにはキログラムとかいちいち計算してられないので専用ツールを使ったほうが簡単です。
ハーレー専用という訳ではないけどベルトテンショナーという便利なツールが売ってます。
ドライブベルトをベルトテンショナーで下から持ち上げて10のメモリになったときに浮き上がったベルトの高さを測ります。
ハーレーにはベルトカバーにベルトの張り具合を確認できる点検窓がついてます。1目盛りは3.2mmです。この点検窓の目盛りか定規を使って適正値に調整します。
スポーツスターのベルトたわみ値
ハーレーの年式や車種によってベルトのたわみ値は変わってきます。僕のスポーツスターの適正値は以下の通りです。
XL883/XL1200 7.93mm〜9.52mm
測ったみたら、いやぁ〜全くメンテされてないんでブカブカですよ。点検窓の目盛りとかとうに通り越してます。
では、ベルトテンションゲージを使って、たわみ値を適正範囲にします。
まずはリアタイヤを浮かします
いきなりですが大掛かりです。
なんせベルトの張り具合を調整するにはリアタイヤのアクスルシャフトを緩めてチェーンアジャスターでたわみを調整しなくてはなりません。
ジャッキアップします
後輪を浮かせるためにジャッキを使います。出来るならバイク専用ジャッキスタンドが幅広で真っ直ぐ持ち上がるからおすすめです。
今回は車用のジャッキでサイドスタンドを軸として後輪を浮かせました。転倒防止でフロントブレーキレバーをハンドルに輪ゴムで巻きつけブレーキを掛けた状態にしましたが不安定なのでおすすめできません。
アクスルシャフトを緩める
車体が持ち上がったらベルトテンションを調整するためにリアタイヤのアクスルシャフトを緩めます。
Eクリップを外す
先ずはアクスルシャフトのナット落下防止のEクリップをマイナスドライバーで外します。
ナットを緩める
ナットを緩めるには1・1/4インチ(42.7mm)のソケットレンチが必要です。
この大きいソケットレンチにブレーカーバー差込角 12.7mm 1/2インチを繋げてナットを緩めたいのですが、社外品のリアサスを入れているのでソケットが奥まで入りません。
よってリアサスも外して作業しました。
ドライブベルトのたわみを調整する
ドライブベルトのたわみを固定しているチェーンアジャスターのナットを締めたり緩めたりして調整します。
ゴムキャップが被ってるので抜いてあげて、テンションを強く張りたい場合はナット締める。
テンションを緩めたい場合はナットを緩めます。
今回はユルユルのドライブベルトを引っ張りたいのでメガネレンチを使って締めてテンションを掛けていきます。
なお、左右均等にするため、ボルトの突き出し量を揃えながらベルトテンショナーで測定していきます。
ベルトテンションゲージを使う
ドライブベルトのたわみをベルトテンションゲージを使って調整します。
ドライブベルトにベルトテンションゲージで持ち上げて10ポンドの線までのところで、たわみ値が規定範囲内かを確認します。
たわみ目安はベルトカバー3目盛り分の9.6mmで合わせておけば問題ないでしょう。
先程のチェーンアジャスターのナットを少しづつ締めながら調整するとやりやすいです。
正しい方法はタイヤを回して一番テンションが張った位置で測定するのですが伸縮性のベルトドライブ、僕は細かいことは気にしません。
気をつけたいのはベルトの張りすぎです。
ギチギチに、たわみを無くすとドライブシャフトやタイヤ内のベアリングを痛めます。たわみ値は7.93mm未満にしないよう、ゆとりを持たせましょう。
アクスルシャフトを締める
ベルトテンションが決まったらリアアクスルシャフトを締めてチェーンアジャスターのナットを軽く締めてゴムキャップをハメます。
アクスルシャフトのナットは力任せに締めるとホイールベアリングが押し潰されてタイヤの回転が重くなるからここも締め過ぎに注意です。
トルクレンチがあれば適正トルクで締めれますが私は手首の感覚、そう手トルクってやつです。
これは経験で感覚を覚えるしか無くボルトの大きさ穴の材質に合わせて力加減を弱めたり上手く説明できない。
一応ナット脱落防止のEリングもあるしタイヤが外れることは無いでしょう。
これでベルトテンションの調整が完了しました。ベルト鳴きも無くなり快適です。
メーカーの正しいやり方
ハーレーダビッドソンが示す正規のドライブベルト調整方法を載せておきます。
2020年式SPORTSTERオナーズマニュアルより
ベルトのたわみを測定する場合はBELTTENSION GAUGE (ベルトテンションゲージ) (部品番号:HD-35381-A)を必ず使用してください。 テンションゲージを使用しないと、ベルトの張りが不十分になる場合があります。 ベルトの張りが緩いと「ラチェッティング」(歯飛び)によって内部コードのクランピングや損傷の原因になります。
たわみの点検:
- トランスミッションをニュートラルに入れた状態。
- 車両が室温の状態。
- 車両が直立した状態、またはリアホイールを接地させてサイドスタンドを使用した状態。
- 車両が空車の状態: ライダーなし、荷物なし、サドルバッグは空。
誤ってエンジンを始動すると、死亡事故や重大な人身事故を引き起こすおそれがあるため、メインヒューズを外して作業を開始してください。
- セキュリティシステムを作動解除し、 メインヒューズを取り外します。 「「整備手順」の3部構成です。 → ヒューズ」を参照してください。
- トランスミッションをニュートラルにシフトします。
新品のベルトを調整する場合、リアホイールを数回転回してから、ベルトの張りを調整してください。
- ベルトテンションゲージを使用して、ベルトのたわみを測定します。
専用工具: BELT TENSION GAUGE (ベルトテンションゲージ) (HD-35381-A)
- Oリングをゼロマークまでスライドさせます。
- ベルトチェックウィンドウ装備のモデル: ベルトクレードルを、ベルトチェックウィンドウの位置でドライブベルトの下側に当てます。
- その他の全モデル: ベルトクレードルをドライブプーリーから半分のところでドライブベルトの下側に固定します。
- Oリングが4.54 kg (10 lb)のマークに下がって安定するまで、ノブを上に押します。
- ベルトのたわみを測定します。
- ベルトチェックウィンドウ装備のモデル:。 ゲージを固定した状態で、ベルトチェックウィンドウからベルトのたわみを測定します。 たわみの目盛りは、約1.6 mm (1/16 in)です。
- ゲージを固定した状態で、ベルトのたわみを測定する。
- 注記:ベルトが1,600 km (1000 mi)未満の場合、仕様値を低く(きつく)します。6.4 mm〜 7.9mm
仕様値と比較します。
仕様の範囲外であれば、ハーレーダビッドソン ジャパン正規販売網店にお問い合わせください。
- メインヒューズを取り付ける。
|
今回使ったパーツと工具
メンテナンス記録