スポーツスターのブレーキパッド交換
中古で買ったスポーツスターのブレーキパッドが摩耗してそろそろ無くなりそうなのでブレーキパッドを交換しました。
ブレーキパッドの残りの厚みを測るには10円玉を使います。
10円玉の厚みは1.4ミリ。
ブレーキパッドの使用限界が2mmと言われてますから10円玉が入る隙間がなければ即交換です。
隙間を測ってみると前後ともまだ余裕がありそうですね。
見た感じもう限界ギリギリ残ってる感じに見えるんだけど。
新しいブレーキパッドも買っちゃったんで交換します。
交換用ブレーキパッド
今回交換するブレーキパッドはこちら
デイトナHDパッド
重視したのは「バランス」だそうで。ブレーキの効きもよく長持ちするパッドです。
スポーツスターのブレーキパッドは前後違う形をしてます。
フロント用とリア用2種類用意しました。
フロントに比べ、リアの方が面積小さいのに同じ値段っていうのが納得し難いがほっときます。
※ブレーキの分解整備は資格者でないと違法というのは営利目的の場合であって、基本は使用者が運行前に点検・整備するものとして道路運送車両法で定められています。
リアブレーキパッドの交換
スポーツスターのリアブレーキパッド交換手順です。
ブレーキパッドの点検だけなら1のパッドピンを外すだけでブレーキパッドを抜くことができます。
新品のブレーキパッドは分厚いので中のキャリパーピストンを押し戻す作業が必要ですのでキャリパーごと外します。
外す手順は
1.パッドピンを外す。
2.ボルトを外す。
3.裏側のナットを回してキャリパー本体を外す
となります。
パッドピンを外す
パッドピンはブレーキパッドを固定している棒状の部品です。
パッドピンを外すのにめくらされているキャップをマイナスドライバーで回して外します。
ここで使うマイナスサイズは通常よりも大きいマイナスドライバー(直径8mm)が必要です。
正式名称:パッドピンプラグ
パーツナンバー:42838-04
パッドピンプラグを外したら六角レンチを使ってパッドピンを抜きます。
六角レンチのサイズは5mmです。
余談ですが、ハーレーのブレーキ部品はインチ工具でなくミリ工具を使います。なぜミリ工具かって?それは日本製だからでして。
ハーレーは随分前からグローバル化されてて日本のメーカー部品が多く使われてます。
ブレーキパッドを外す
パッドピンを抜くとブレーキパッドが取り外せます。
ブレーキパッドを上へ持ち上げるとキャリパーから抜くことができます。
ディスクローターの内側と外側のブレーキパッド2枚を外しましょう。
キャリパーを外してからブレーキパッドを外しても問題ないけどパッドピンプラグとパッドピン取り外し作業はキャリパーが付いてる状態で行うほうが楽です。
古いブレーキパッドの確認
キャリパーから取り外したブレーキパッドの状態を見ておきます。
あら?まだ溝が残ってますね。交換するには気が早すぎたか。パッドの厚みも十分残ってました。
使い切らないうち交換となるととても悔しい気分にさせるのがブレーキパッドです。新品でも5mm程しかない厚さを残り2mmでまた新品に交換とは。センターの溝が消えるまで、まだまだ使えたのにビビってる自分にガッカリです。
左右のブレーキパッドの減りを比べてみると片方だけ減りが早いようです。これは片側だけブレーキピストンでパッドを押し付けるハーレーのブレーキキャリパーの仕組み上致し方ないですね。左右入れ替えて再利用は形が違うのでできませんでした。
キャリパーの取り外し
ブレーキパッドを外せたらキャリパー本体の取り外しに進みます。
2番のボルトを14mmのソケットレンチで外します。
外した際、ワッシャーが複数枚付いてるので無くさないようにしましょう。
このワッシャーの枚数がなぜ4枚なのかはほっときます。
続いて3番の裏側にある12mmナットをスパナを使って緩めていき、キャリパーサポートからブレーキキャリパー本体を外します。
キャリパーを掃除する
外したキャリパーはブレーキダストで黒く汚れてしまってます。ブレーキクリーナーで洗浄するも頑固な汚れは落ちません。
そこで登場するのがクレンザーのジフとタワシ。
水を溜めたバケツを用意してキャリパーを水の中にドボンしてクレンザーを付けたタワシでゴシゴシ洗って綺麗にします。
特にピストンは押し戻す前にゴミを挟まないよう、ブレーキクリーナーを使ってピカピカにしておきましょう。
ブレーキパッドの取り付け
綺麗にしたキャリパーに新品のブレーキパッドを取り付けます。
ブレーキパッドを取り付ける前にまずブレーキリザーバータンクのキャップを開けときます。
これはブレーキピストンを押し戻すとブレーキフルードが逆流してタンクから溢れるからです。
リザーバータンクのキャップを締めたままピストンを押し戻すと圧力でブレーキランプスイッチ部品が壊れてブレーキフルードが漏れてしまいます。
ピストンを押し戻す
出っ張っているピストンを戻さないと分厚い新品のブレーキパッドが装着できません。
特殊工具を使ってピストンを押し戻します。
今回、特殊工具はディスクブレーキセパレーターを使いました。
このディスクブレーキセパレーターをキャリパーのピストンに挟んで広けていきます。
ピストンを押し戻していくとブリーザータンクからドバドバとブレーキフルードが溢れてきますがそれが正常です。作業が終わるまで洗車せずにほっときましょう。ピストンを完全に戻したらブレーキパッドを取り付けします。
今回用意したブレーキバッドはデイトナ製HDパッド 純正パーツ番号:42029-07
ご自身のスポーツスターに合うパーツ番号は右のパーツリストからお調べください。
ブレーキパッドの鳴きを抑えるのにブレーキバッドとパッドプレートにシリコングリスを塗っておきます。
ゴムパーツの劣化防止にシリコングリスを塗る。
ブレーキキャリパーのゴムパーツが劣化するとブレーキの働きが悪くなるのでシリコングリスを指につけて擦り込むように塗っておきましょう。
また2番のボルトの奥にキャリパーピンブーツがありますので、キャリパーを取り付ける前にキャリパーサポートに取り付けた状態にします。
正式名称:キャリパーピンブーツ
パーツナンバー:42824-04
パッドピンを洗浄しグリスを塗る。
ブレーキダストで汚れたパッドピンをクレンザーのジフとタワシで綺麗に洗浄しグリスを塗ります。
パッドピンはブレーキパッドが左右にスムーズに動くサポートをします。
早々簡単に削れませんが長年走っているとパッドピンが削れていきます。
ピンに段差が付いてたら交換しましょう。
正式名称:リアキャリパーパッドピン
パーツナンバー:42837-04
分解の手順と逆に作業してブレーキキャリパーを元に戻します
ブレーキパッドをキャリパーに差し込んでパッドピンを差し込んだら分解の手順と逆の手順で元に戻します。
3番のナットを12mmスパナでキャリパーサポートに固定し、1番ボルトの締め過ぎに注意しながら取り付けます。
パッドピンを六角レンチで本締めしキャップにネジロックを塗って締め込みます。
キャリパーが装着できたらスカスカのブレーキベダルを何度も踏んでピストンに圧力を掛けてブレーキパッドでディスクローターを挟みます。
繰り返しブレーキベダルを踏んで、しっかりブレーキ圧が掛かる状態になったらブレーキリザーバータンクのブレーキフルード量を適正範囲にあるかを確認しキャップをして試走行してブレーキが正常に動作を確認して完了です。
フロントブレーキパッドの交換
折角なのでリアと同時にフロントブレーキのブレーキパッドも交換します。
キャリパーを外す前に、ブレーキのピストン戻しでリザーバータンクに逆流するとハンドル周りがオイルまみれになるのを防ぐためリザーバータンクのブレーキフルードを予め減らしておきます。
今回は、キャリパーのブリーダーボルトからホースを繋いでブレーキフルードを抜きました。リザーバータンクが空になるほどブレーキフルードを抜くとエアーを噛んでしまうのでやり過ぎに注意です。そしてリザーバータンクのキャップを少し開けておきます。
ブレーキパッドピンを外します
パッドピンの外し方はリアと一緒です。
パッドピンを抜くとそのままブレーキパッドが自重で落ちてきます。
パッドピンが摩耗して段差が付いてたら交換しましょう。
正式名称:フロントキャリパーパッドピン
パーツナンバー:42832-04
リアとは外見は似てても内側は2ポットでリアとは別物になります。
キャリパーを外す
フロントブレーキキャリパーはフロントフォークに固定されてます。
フロントフォークから10mm12角ソケットレンチでボルトを外しキャリパー本体を後ろにスライドさせて抜きます。
キャリパーの洗浄
またしてもバケツにドボンしてクレンザージフとタワシを使って汚れを落とします。
細かいところは歯ブラシなど先の尖ったブラシで洗うとブレーキピストン回りも綺麗に洗浄できます。
どうしてもブラシや指が入らないところはブレーキクリーナーのスプレーノズルを付けて汚れを吹き飛ばすとよいでしょう。
ピストンを押し戻す
フロントブレーキキャリパーは複雑な形をしていてディスクブレーキセパレーターが大きすぎてピストンを奥まで押しきれません。
そんなときは、古いブレーキパッドを使って隙間を埋めてディスクブレーキセパレーターがフルに使えるようにします。
写真ではピストン側に2枚挟み込んでますが、はじめは1枚で押し広げて、次に2枚入れて完全にピストンを押し戻しました。
ブレーキパッドの組み立て
フロントのブレーキパッドはブレーキ鳴き防止の樹脂製プレートがパッドプレートとの間に入ります。
左右組み立てたらシリコングリスを塗っておきます。ブレーキ鳴きを防ぐのに新品のブレーキパッドに角をヤスリで削って取る人もいらっしゃいますが、そんな面倒くさいことしません。鳴いてもいいじゃないハーレーだもの。性能に影響ないしブレーキパッドが減ってくうちにバリが出るのでその時までほっときましょう。
キャリパーを元に戻します
新品のブレーキパッドをキャリパーに取り付けます。
キャリパーをフォークに取り付けてからブレーキパッドを装着しようとすると自重で落ちてくるのでなかなかパッドピンを差し込めません。
ブレーキの口を上にしてパッドピンを差し込んだ方が作業は楽でした。
外した手順と逆手順でキャリパーを元通りにします。取り付けたらフロントブレーキレバーをにぎにぎしてブレーキピストンを押し出してブレーキパッドでディスクローターを挟み込みます。このときハンドルにあるリザーバータンク内のブレーキフルードが空にならないよう注意します。
ブレーキレバーに圧力が掛かるようになったらブレーキリザーバータンクのブレーキフルード量を適正範囲にあるかを確認しキャップをして試走行してブレーキが正常に動作を確認して完了です。
最後は水洗い
ブレーキフルードがフレームに垂れたり、洗剤が飛び散って白い斑点が車体に付いてたりするので洗車して綺麗にしましょう。
苦労した割には見栄えは一切は変わらず地味な作業ですが、命に関わる大事なブレーキ。
点検・整備を怠らないようハーレーとできるだけ一緒に過ごしてあげてください。
今回使ったパーツと工具
メンテナンス記録